研究内容

研究の背景、目的、意義

医療の高度化、医療機器の発展に伴い、臨床工学技士の業務は拡大を続けており、今後さらなる知識や技術が必要とされます。その教育課程(卒前教育)について、臨床現場が求める教育水準との乖離が懸念されていますが、これまで臨床工学技士養成教育の到達度を客観的に評価するための基準は作成されておらず、教育の質の実態は正しく把握されていません。そうした状況下、2021年3月に取りまとめられた「臨床工学技士学校養成所カリキュラム等改善検討会報告書」(厚労省医政局)では、臨床実習において学生が経験すべき行為(到達目標)が初めて示され、客観的な評価基準としての機能も期待されます。今後、全国の養成施設が社会的使命を果たせるよう教育の質を担保していくためには、卒前教育の全領域において評価基準を整備し、教育の現状を正しく評価していくことが望まれます。

そこで本研究は、教育の質の評価基準となるコア・コンピテンシー(臨床現場で求められる実践能力を示す)及び卒業時の到達目標を作成したうえで、到達度の現状についての質問紙調査を行うことで、臨床工学技士養成教育における到達度の実態を明らかにすることを目的としています。

本研究によって作成するコア・コンピテンシー及び卒業時の到達目標は、評価基準として教育の質を測るために用いられるだけでなく、臨床工学技士版モデル・コア・カリキュラムや認知領域での到達度を担保するCBT(computer based testing)を開発するための礎ともなり得るものと考えております。

コア・コンピテンシーの作成

臨床現場で臨床工学技士に求められる実践能力について養成施設教員を対象としたワークショップを実施し、その結果を踏まえて臨床工学技士養成教育におけるコンピテンシーの原案として、養成校卒業時の到達目標となる40項目の行動・態度を選定しました。さらに、臨床現場の視点からも各項目に求められる到達水準を検証するため、臨床業務経験者を対象とした質問紙調査を行い、その結果を踏まえて『臨床工学技士養成教育コア・コンピテンシー』を作成しました。

臨床工学技士養成教育の到達目標に関する実態調査

『臨床工学技士養成教育コア・コンピテンシー』を活用して全国の臨床工学技士養成施設を対象とした質問紙調査を行い、40項目の到達目標(行動・態度)が実際にどの程度達成されているか明らかにすることを目的としています。本研究の結果から、臨床工学技士養成教育における到達度の実態を明らかにすることで、今後、業界全体として教育水準の維持・向上を図るために必要な課題を明確にし、将来的な教育の質の担保に資することが期待されると考えております。